Vol.236 2021/07/02
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浜田かずゆき の
『ぶっちゃけ話はここだけで』
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中国との関係に黄色信号の灯ったテスラのイーロン・マスク氏
6月28日は電気自動車「テスラ」の創業社長イーロン・マスク氏の誕生日だった。
南アフリカで1971年に生まれたマスク氏は、めでたく50歳になったわけだ。
例年であれば、イギリスの古城やニューヨークの高級クラブを
貸切って、盛大なバースデーパーティを開いていたのだが、今年は、やけに静かな誕生日になった。
というのも、彼のビジネスを取り巻く環境が厳しさを増しているからであろう。
彼の誕生日に合わせたのかどうかは不明だが、中国政府から驚くような発表があった。
中国で一番売れてきたテスラ車に対して30万台のリコール命令が発令されたのである。
今年の上海での国際自動車ショーの期間中、中国人ユーザーが、展示してあったテスラ車の天井によじ登り「テスラの車は危険だ。ブレーキが利かず、自分も事故に遭いそうだった」とクレームをつけるという騒動もあった。
そうしたクレームを受け、中国政府が調査に乗り出し、「事故につながる恐れのある制御システムの不具合が見つかった」と発表し、リコールにつながった。
モデル3のセダンとモデルYのコンパクト型が対象で、
いずれも上海にあるテスラのメガファクトリーで製造されたものである。
ということは、2019年12月から2021年6月の間に製造されたテスラの電気自動車の大半が欠陥車というわけで、
マスク氏にとっては「最悪の誕生日プレゼント」と言っても過言ではないだろう。
実は、テスラでは昨年10月にもモデルSとモデルXの計3万台をサスペンションの不具合を理由にリコール対象にされたばかりだった。
更に、追い打ちをかけるように、中国政府からは「テスラ車が搭載するカメラは中国国内の軍事施設や政府関連機関をスパイするために使われているので、こうした公的施設への乗り入れを禁止する」との通達まで出される有様だ。
電気自動車の将来性に着目した中国のIT企業が相次いで市場に参入しているため、中国政府は自国企業を支援する狙いで、先行するテスラの足を引っ張っているのかも知れない。
いずれにせよ、アメリカでは長者番付第2位のマスク氏だが、資産の大半はテスラの株のため、今回のようなリコールが続けば、長者番付から脱落することもあり得る。
そうした事態を回避すべく、マスク氏は得意のツイッターで「テスラ車の売買をビッドコインでできるように再考する」と発信。
まさに乱高下の続く仮想通貨に希望を託しているふしも見られる。
要は、新たな奇策を準備している可能性が高いのである。
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