2023年7月7日発行
世界の最新トレンドとビジネスチャンス
第347回
ウクライナの復興ビジネスで大儲けを目論む投資ファンド
浜田和幸
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ウクライナ戦争は終わりが見えません。
ロシアの民間軍事会社「ワグネル」による「1日反乱」が話題となりましたが、プーチン大統領もゼレンスキー大統領も相変わらず、相手側を非難するばかりで、和平への交渉は中とん挫したままです。
それどころか、ウクライナにあるジャポリーザ原発に対して、「ロシアは自爆テロを準備中」とか、「ウクライナは無人機での攻撃を仕掛ける可能性が高い」とか、真偽のほどが不明な情報戦が展開されています。
これでは、いつ何時、核兵器使用と同じ、原発災害が発生するかも知れません。
G7広島サミットで岸田首相は「核兵器のない世界」を国際社会に向けて発信すると意欲を見せていましたが、残念ながら、これといった成果も進展も見られないままです。
ウクライナのゼレンスキー大統領を広島に招き、韓国のユン大統領とのシャトル外交など、話題作りには熱心でしたが、ウクライナ戦争の終結や日韓の歴史認識や領土問題の解決には見通しすら立っていません。
その最大の理由は「アメリカ一辺倒」の発想にあります。
アメリカの思惑に左右され、日本独自の価値観外交や平和的安全保障政策を打ち出せていないため、ウクライナからも韓国からも「ただの金ずる」と見なされるばかりなのです。
日本はアメリカ以上に財政赤字が膨らみ、このままでは
国家破綻もあり得るにもかかわらず、岸田首相にはそうした危機感は感じられません。
思い起こせば、先の大戦においても、日本の敗戦は時間の問題で、「非人道的な原爆の投下は必要ない」というのが
米国の政権内部の合意事項でした。
ところが、公開されたアメリカの公文書によれば、トルーマン大統領はソ連が日本上陸作戦を準備しており、その動きをけん制するために米国の最新鋭の原爆の威力を見せつけることを優先したことが判明しています。
要は、「ソ連を抑止するためなら日本を犠牲にしても構わない」という勝手な論理です。
しかも、そうした勝手な理論は今日でも大手を振っています。
即ち、ウクライナ戦争にかこつけて、「ロシアが核使用をちらつかせている」と、プーチン大統領への責任転嫁でお茶を濁そうとする意向が強く感じられるからです。
先の広島宣言も結局のところ、ロシアからも中国からも猛反発を招いただけでした。
実は、ウクライナ戦争の終わりが見通せない中、欧米の投資ファンドや近場のチェコやポーランドの建設会社は「ウクライナの復興ビジネスで大儲けできそうだ」と、虎視眈々とゼレンスキー政権に食い込んでいます。
世界銀行の最新の見通しでは、ウクライナにおける戦後復興事業には最低でも4110億ドルが必要とのこと。
NATO諸国はウクライナ軍に大量の武器や装備品を提供しています。
そのお陰で、欧米の軍需産業は空前の「戦争特需」に沸いているのです。
次のビジネスチャンスは「戦後復興」という目論見です。
いわば、「破壊と再建」を繰り返すことで、終わりのない「戦争ビジネス」を展開しようということでしょう。
このところ、ウクライナ政府の要人が相次いで日本を訪れています。
彼らが口をそろえて言うのは「日本の戦後復興や原発事故からの立ち直りで見せた経験や技術を学びたい」という“日本礼賛”です。
その裏には、復興に必要な資金は日本や韓国に提供させようという強かな計算があるに違いありません。
世界最大の金融ファンド「ブラックロック」や「JPモルガン・チェース」はゼレンスキー政権と既に交渉を重ね、100兆円規模の復興資金を世界銀行や日本から調達する動きを加速させています。
名付けて「ウクライナ発展ファンド」です。
また、チェコの政府は2025年まで毎年2300万ドルを自国企業に提供し、ウクライナの復興ビジネスへの参入を後押しする意向を表明。
ポーランドの政府も同様の思惑から、日本の政府と民間企業とパートナーシップ協定を結ぼうと躍起になっています。
戦火が収まらず、核戦争に発展する恐れもある中で、欧米の投資ファンドや大手金融機関は虎視眈々と戦争と復興ビジネスの計画を売り込んでいるわけです。
日本は相変わらず、欧米の食い物になっているとしか言いようがありません。
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