私の履歴書NY編・ビジネスインテリジェンス協会事始め
2023年8月6日 中川十郎
(2)「日本競争情報専門家協会」から「日本ビジネス競合情報専門家協会」へ名称変更
1992年2月12日の虎ノ門ANAホテルでの発会式は国内外の情報専門家300人が参加。
盛会裡に開催された。
「ビジネス競合情報に関する国際シンポジウム」と題し、基調講演は「米国競争情報専門家協会」SCIP会長ジョン・プレスコット博士(ピッツバーグ大学教授)が「SCIPアメリカの現状と競合情報」に関して講演。ビジネスインテリジェンス(BI)の世界的権威で筆者の情報研究の生涯の恩師でもあるスエ―デン・ルンド大学のステバン・デジエール博士が「ヨーロッパにおける競合情報とその管理」、オーストラリア情報権威者シドニー工科大学クリス・ホール博士が「戦略経営システムについて」、ロシアから「旧ソ連邦経済の市場経済移行の問題点」と題し、セルゲイ・ブラギンスキー氏が発表を行い、聴衆に感銘を与えた。
パネルデイスカッションは筆者が司会を行い、「競合情報の現状と将来」と題し、ゼイン・マコーウイッツ米SCIP副会長、情報研究家、ロバート・A マルグリエス氏、ジョン・プレスコット博士、フランス経済情報協会からフィリップ・バウマード博士、米国で情報研究を続けておられる情報専門家の藤原 肇 博士が参加。白熱した討論が行われた。この発会式は主催・日本ビジネスインテリジェンス協会、後援・米国商工会議所、米国競争情報専門家協会、東京相互銀行営業情報連絡会に協力いただいた。
会議の模様は日本のN経済紙が中心となり報道された。同紙の広報と財政援助を依頼の為、同紙論説主幹・常務のT氏に面談した。競争情報専門家協会という名前が気に入らない。「競争情報とは競争相手の会社をスパイし、情報を盗むことを連想させる。そのような経済スパイを研究するような協会には財政支援はもとより、記事で広報することも協力できないと一喝された。急遽実行委員会で相談した結果、「日本競争情報専門家協会」を「日本ビジネス競合情報専門家協会」(Society of Competitive Intelligence Professionals of Japan)
に名称変更し、広報を頂けることになった。翌年の1993年にはさらに先端経済・経営情報を中心に研究する「日本ビジネスインテリジェンス協会(Business Intelligence Society of Jaspan)」―BISに名称変更し、現在に至っている。ただし米国の「競争情報専門家協会」はこの名称変更には賛成でなく、BISとは別の日本競争情報専門家協会(現学会)会長にM元
警視総監を指名。その後、会長は元日大教授の菅澤善男氏、現在の高橋文行日本経済大学教授に引き継がれ、活動を継続している。筆者は過去の経緯より同学会の顧問を拝命している。