第1回 戦略インテリジェンス シンポジウム

                                                                     閉会の挨拶

中川 十郎 (日本ビジネスインテリジェンス協会 会長、名古屋市立大学22世紀研究所特任教授)

2023年10月12日（木） 参議院議員会館 会議室

 

この度は、日本安全保障・危機管理学会、日本コンペテイテイブインテリジェンス学会、日本ビジネインテリジェンス協会 三情報研究機関共同で合同情報研究会を開催いたしましたところ、初の合同研究会にもかかわらず、会場、並びにＺＯＯＭで日本の情報にご関心をお持ちの方々が多数ご参加いただき、深謝申し上げます。

情報化社会はＡＩ時代を迎え、Chat ＧＰＴを中心にビッグデーター、データーサイエンスなど世界の情報環境は急激に激変しつつあります。このような疾風怒涛の時代に、3機関が合同情報研究会を開催した意義は極めて大きいと思います。今後とも関係情報研究機関の協力を得て、定期的に情報研究会を開催いたしたいものと希望しております。

本日ご参加の皆様のご指導とご協力もいただき、日本の情報力向上にいささかなりとも貢献したいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

しかしながら、日本の情報収集、分析、活用の研究は欧米諸国にくらべて大幅に遅れており、官民ともに格段の努力が必要と思います。

例えば、欧米に於いてはフランス、スエーデン、米国には「情報戦争学校」があり、官民軍相協力して情報の収集、分析、活用の研究に尽力しております。またフランスには汎ヨーロッパベースの情報研究のため、2006年ベルサイユに産学官の情報研究大学院 Ecole Europeenne de l’Intelligence Economique(ヨーロッパ経済情報学院)を設立。パリの有力企業のみならず、欧州委員会、欧州各国の教育機関、ヨーロッパ企業との連携を深め、経済情報の教育に力を注いでおります。 また諜報関係でＭＩ６で有名な英国などアングロサクソンの国際スパイ情報組織、Ｅｃｈｅｌｏｎも英米を中心に豪州、ＮＺ，カナダの5カ国でスパイ衛星を活用し、軍事情報のみでなく、経済情報も盗聴しているとしてＥＵ議会でも問題になった。

一方、米国では1986年創設のSCIP( Strategic Competitive Intelligence Professionals=戦略競争情報専門家協会)があり、毎年競争情報世界大会を開催。競争情報の研究を深めています。

米国では40以上の大学及び大学院で経済情報、競争情報の講座を開設。日本とは比べ物にならないような徹底した情報教育を施している。欧米の大学に対抗するためにも、日本の大学でも今後徹底した情報教育が強く求められています。AI 時代、量子コンピューター時代を迎え、世界的に競争激化の折、わが日本においても、経済安全保障の観点からも経済情報、先端技術情報、競争情報、サイバーセキユリテイの研究は極めて重要です。

今後3機関が相協力し、毎年継続的に共同研究、共同発表会を行い、日本の経済競争力向上にいささかなりと貢献できれば望外の喜びです。その点。日本安全保障・危機管理学会が実施しているクライシスマネジャー養成講座「安全保障・危機管理士」養成コースに大いに期待しております。

今回の会議準備にご尽力いただいた、「日本安全保障・危機管理学会」、「日本コンぺテイテイブインテリジェンス学会」並びに「日本ビジネスインテリジェンス協会」の関係各位に心からの感謝を申し上げる次第です。最後に会場、ZOOMでご参加の皆様のご健勝を祈り上げ、閉会の挨拶といたします。ご清聴ありがとうございました。              以上